順風満帆だった女優人生が一変したのは、映画やドラマでの共演をきっかけに始まった松方弘樹さんとの恋でした。当時、松方さんには家庭があり、大スター同士の不倫関係は芸能界を揺るがす大スキャンダルへと発展します。
世間からの猛烈なバッシングを浴びながらも愛を貫き、松方さんの前妻との離婚が成立した後の1979年に正式結婚。仁科さんは絶頂期にあった女優業をスパッと引退し、梨園仕込みの細やかな気配りで夫を支える「完璧な良妻賢母」として家庭に入りました。一男一女に恵まれ、京都の豪邸で誰もが羨むセレブ生活を送っていたかに見えました。
しかし、幸せな結婚生活は長くは続きませんでした。最大の離婚理由は、松方さんの底なしの女性問題と隠し子騒動です。1990年代後半、松方さんと愛人関係にあった女性との間に子供が誕生していた事実が発覚。幾度となく浮気を許してきた仁科さんにとっても、決定的な裏切りとなりました。
さらに、映画製作などによる松方さんの巨額の負債問題も重なり、夫婦関係は完全に修復不可能に。1998年12月、19年間に及んだ結婚生活に終止符が打たれました。会見で見せた毅然とした表情の裏には、一人の女性として、そして母としての強い覚悟が秘められていました。