無戸籍という見えない社会問題を広く世に知らしめたのは、フィクションの力だった。2012年にフジテレビ系列で放送されたテレビドラマ『息もできない夏』では、女優の武井咲が自身が無戸籍であることを知らされ絶望するヒロインを熱演。理不尽な行政の壁や周囲の偏見に抗う姿は、視聴者に強烈な衝撃を与えた。
さらに遡れば、是枝裕和監督が手がけ、カンヌ国際映画祭で絶賛された映画『誰も知らない』がある。出生届を出されず、社会から完全に孤立したアパートで暮らす子どもたちの過酷な生を描いたこの作品は、日本国内のみならず国際社会にも大きな波紋を広げた。虚構を通して描かれた残酷な現実は、今なお色褪せない社会派ドラマの金字塔として語り継がれている。