扉を開けると、芳醇なガーリックと豊かな海の香りが鼻腔をくくぐる。佐賀市の一角に佇むこの店は、連日全国から訪れる食通で行列が途切れない。看板メニューのペスカトーラは、皿からはみ出さんばかりの大ぶりなエビやアサリ、渡り蟹がどっさりと盛られた圧巻のビジュアルだ。一口食べれば、貝類から溢れ出た濃密な出汁が口いっぱいに広がり、思わず溜息が漏れる。
「海鮮の鮮度こそが命。妥協した素材は絶対にお皿に乗せません」。力強い眼差しで語るのは、この店を仕切るオーナーシェフだ。日本イタリア料理協会にも所属するベテランシェフは、長年培った技術と地元食材への愛を融合させ、究極の一皿を仕立て上げる。下処理の段階で魚介ごとの火入れ時間をミリ単位で調整し、プリッとした食感と濃厚な旨味を同時に閉じ込めているのだ。