三船敏郎が演じる浪人は、決して絵に描いたような高潔な武士ではない。金にがめつく、身なりは薄汚れ、口の利き方も乱暴そのものだ。だが、物事の本質を見抜く眼力と、いざという時の決断力において右に出る者はいない。
若侍のリーダー格を演じた加山雄三をはじめとする若者たちは、三十郎の圧倒的な強さに心酔し、彼を「名刀」と崇める。しかし、三十郎自身はその評価に苦い顔を崩さない。人を斬ることでしか事態を収拾できない自身の業を誰よりも理解しているからだ。ラストシーンで若侍たちに向けて言い放つ「本当にいい刀は鞘に入っているものだ」という警句は、武力を誇示することの愚かしさを鋭く突く、作品全体の痛烈なメッセージとして胸に刺さる。