地震が起きた際、地中を真っ先に伝わるのは縦揺れである「P波(Primary Wave)」だ。その後に遅れてやってくる横揺れの「S波(Secondary Wave)」こそが、建物に深刻な被害をもたらす。従来の緊急地震速報は、震源に近い観測点がP波を感知し、その振幅と到達時間から震源地と規模を推測する仕組みをとっていた。
しかし、かつては単一またはごく少数の観測点データから計算していたため、震源の深さや位置の判定にブレが生じるケースも存在した。2026年現在の気象庁システムでは、全国1000箇所以上の観測網からリアルタイムで送られる波形データを、高度化されたニューラルネットワークがミリ秒単位でクロスチェックしている。P波の初期数サイクル分の波形形状から震源メカニズム(断層の滑り方向や傾斜角)を瞬時に推定することで、発生からわずか1〜2秒後には震源地の高精度な絞り込みが可能となった。