長年信じられてきた「ムカデに刺されたら冷やす」という民間療法は、医学的見地から明確に否定されています。毒素の成分特性に基づいた正しい初期初動をとることで、その後の疼痛と腫脹を劇的に抑え込むことが可能です。
ムカデの主要毒素である酵素タンパク質は、熱に弱く43℃以上の熱で変性・失活する性質を持っています。咬まれた直後は躊躇せず、「43〜46℃程度のシャワー」を患部に15〜20分間当て続ける温熱療法が標準的な初期対応です。このとき、冷水で冷やしてしまうと毒の活性が保たれ、痛みが深部に広がって悪化するため注意してください。
シャワーと同時に、泡立てた石鹸や弱アルカリ性の洗浄料で患部を優しく洗い流します(毒成分の一部を洗い流し、中和を促すため)。患部を強く絞り出したり、口で吸い出したりする行為は組織を傷め、口腔粘膜からの毒吸収を招くため避けてください。洗浄・加温後は抗ヒスタミン剤やステロイド系軟膏を塗布し、全身症状(冷や汗、息苦しさ、めまい)が現れた場合は一刻も早く救急外来を受診することが鉄則です。