「膝の内側が痛ければ、とりあえず湿布を貼って温めればよい」という通説には、医学的に重大な落とし穴が存在します。症状のフェーズを見誤ったセルフケアは、組織の修復を妨げる要因になりかねません。
とりわけ注意が必要なのが、膝の内側の痛み 腫れと熱感を伴っている局面です。膝のお皿の周囲がぷっくりと腫れ上がり、左右の膝を触り比べた際に明らかに患部が熱を持っている場合、関節内部で激しい急性炎症や関節水腫(いわゆる「膝に水がたまった状態」)が発生しています。このタイミングで入浴時に長風呂をしたり、温熱サポーターで温めたりすると、毛細血管が拡張して炎症物質がさらに拡散し、激痛を招く危険があります。
適切な膝の内側の痛み 湿布の選び方に関しても、成分と目的に応じた分別が求められます。
- 熱感・ズキズキする急性痛:冷感タイプのテープ剤やロキソプロフェン、ジクロフェナクナトリウムなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を短期間使用し、まずは消炎に専念する。
- 朝のこわばり・鈍い重だるさ:患部周辺の血流を促す温感湿布や温熱パックを活用し、周囲の硬縮した筋肉をほぐす。
市販の湿布薬はあくまで表面的な鎮痛・消炎ツールに過ぎず、すり減った軟骨を再生させたり、骨格のねじれを補正したりする効果はありません。「湿布を貼ると一時的に痛みが引くから治った」と錯覚し、過度な運動を続けて関節破壊を進行させてしまうケースが後を絶たない点には十分な警戒が必要です。