捜査関係者および運行事業者への取材によって明らかになったバス痴漢の逮捕の経緯は、現代の公共交通機関に張り巡らされたデジタル監視網の威力を示すものでした。事件発生時、被害者が異変を感じて身をよじった瞬間、隣席の乗客が不審な手の動きを目撃。被害者が声を上げられない心理的パニック状態にあることを察知した周囲の乗客が、降車ボタンの連打と同時に運転手へ異常を知らせたことが初動の起点となりました。
被疑者は停留所で扉が開いた隙に逃走を図ったものの、運転士による即座のドア操作と乗客の協力により車内に留め置かれ、駆けつけた警察官によって現行犯逮捕の身柄確保に至りました。被疑者は当初、「混雑による身体の接触に過ぎない」「故意ではない」と容疑を否認していたと報じられています。しかし、その弁解を覆す決定打となったのが、車内に設置されていた最新鋭のドライブレコーダー映像でした。
バス車内には前方・側方のみならず、運賃箱周辺、通路、そして座席全体を死角なくカバーする複数台の防犯カメラが常時稼働しています。記録されていた映像には、被疑者が周囲の死角を計算しながら意図的に身体を密着させ、衣服の下へ手を伸ばす一連の動作が秒単位で克明に記録されていました。警察の科学捜査チームは、この客観的な映像証拠と被害者・目撃者の詳細な供述調書を照合。言い逃れのできない状況証拠を積み上げたことで、逮捕から送検に至る手続きは極めて迅速に進められました。