朝鮮半島の当事者同士に目を向けると、呼称をめぐる対立はさらに激しさを増す。韓国側は長年、北側の体制を「北韓(ブッカン)」と呼んできた。これは「大韓民国の北部地域を占拠する非合法組織」というニュアンスを含み、相手の正統性を拒絶する姿勢の表れだった。
一方で北側も、韓国を「南朝鮮(ナムジョソン)」と呼んでいたが、2020年代半ばから金正恩(キム・ジョンウン)総書記が推し進めた「南北統一破棄」と憲法改正によって、この構図は劇的に変わった。平壌は従来の同胞意識を完全に投げ捨て、相手を「大韓民国」と正式名称で呼びつつ、「主敵である別個の国家」と定義し始めたのだ。かつて統一の理想を込めて名付けられた国名は、いまや完全に切り離された「独立した軍事国家」の看板へと変質している。