ネット上の言説において時折見受けられるのが、「若い頃はルックス先行で、歌唱力は伴っていなかったのではないか」という穿った見方です。当時の歌謡界は生バンド演奏による一発本番が基本であり、現代のようなオートチューンや音程補正は一切存在しません。初期の音源を丁寧に検証すると、確かに細く頼りなげなハイトーンではあったものの、ピッチの正確さと独特の倍音を持つ「天性の声質」を備えていたことが分かります。
さらに本人が「自分には才能がない」と最も自覚していたからこそ、その後の変貌が生まれました。20代後半から30代にかけて、彼は単身ニューヨークへ渡り、マイケル・ジャクソンらの指導で知られる世界的ボイストレーナーの門を叩きます。発声の基礎を一から解体し、横隔膜の使い方から呼吸法まで再構築したのです。
「事務所のレールに乗せられただけの偶像」という初期のパブリックイメージは、彼の飽くなき向上心によって完全に覆されました。今日まで語り継がれる歴代の画像やライブ映像を時系列で比較すると、年齢を重ねるごとに眼光の鋭さと表現の深みが増していることが実証されています。