近年、日本の伝統的な温泉観光業は大きな転換期を迎えている。単なる日帰り入浴や宴会型観光から、その土地の歴史や自然環境を体験する「サステナブル・ツーリズム」へのシフトだ。こうしたトレンドの中で、観光庁が推進する地域固有の歴史資源を活用した観光コンテンツ開発において、伊豆山温泉の象徴である源泉遺構は極めて高い評価を受けている。
人工的な動力ポンプに頼らず、千年以上も変わらぬ水蒸気を放ち続ける横穴式源泉の姿は、地域の持続可能な観光資源そのものだ。周辺の温泉旅館や地元のまちづくり団体は、伝統的な温泉文化を守りつつ、見学環境の整備を進めており、歴史ファンのみならず若い世代やファミリー層の集客にも成功している。