門司港の象徴とも言えるのが、大正期を中心としたモダンな建築群だ。異国文化の玄関口として発展したこの地には、当時の日本の最先端技術と西洋意匠が融合した建造物が今も大切に残されている。
その筆頭格が、ネオ・ルネサンス様式の美しい駅舎で知られる門司港駅だ。長年にわたる保存修理工事を経て、大正時代の創建当時の姿を現代に蘇らせたのはJR九州によるプロジェクトだった。シンメトリーの美しさと気品ある木造建築は、足を踏み入れるだけでタイムスリップしたかのような錯覚を覚える。また、赤レンガのコントラストが印象的な旧門司税関は、明治・大正期の官庁建築を数多く手掛けた建築家・妻木頼黄らが携わった歴史的構造物だ。こうした一連の大正ロマン建築は、単なる見学対象にとどまらず、内部でカフェやギャラリーが運営されており、歴史の息吹を肌で感じながら寛げる贅沢な空間となっている。