小説の圧倒的な大ヒットを受け、東宝が制作・配給を手がけた映画版は、スクリーンならではの熱量とビジュアル表現で観客を圧倒した。主演を務めた反町隆史が見せた刑務官としての静かな覚悟、そして共に奔走する青年役を演じた妻夫木聡のリアルな焦燥感は、作中における人間性の揺らぎを見事に体現していた。
原作小説とサスペンス映画版の決定的な違いは、心理描写の肉付けとラストへ至るサスペンスの疾走感にある。小説が文字を通して内面的な葛藤や法的解釈のディテールを丹念に深掘りしたのに対し、映画は登場人物たちの対立と感情の衝突を前面に押し出した。特に絞首台の周囲に漂う静寂と重圧感の映像表現は、観客の皮膚感覚にダイレクトに訴えかける演出として絶賛された。