東京から田舎町・浮雲町へと引っ越してきた人気モデルの望月夏芽と、土地の神主一族の跡取り息子である長谷川航一朗(コウ)。菅田将暉が演じたコウは、漫画のキャラクターの単なるトレースを遥かに超越していた。退屈な日常を嘲笑うかのような鋭い眼光、海風に揺れる脱色された白髪、そして何者にも縛られない凶暴なまでの自由。
菅田は当時、自身が持つ身体性と感性を限界まで研ぎ澄まし、神童と呼ばれながらも自らの無力さに苛まれる少年の内面を痛々しいリアリズムで体現した。夏芽と出会い、互いに惹かれ合いながらも破滅へと疾走していく姿は、もはや美しい獣の戯れのようでもあった。自尊心を粉々に打ち砕かれた事件以降、光を失ったコウの瞳に宿る暗黒と、それでも消えないカリスマ性。観る者は、その危うい引力に否応なく呑み込まれていく。