変化の波はクローゼットの中だけにとどまらない。美容・理容業界の現場では、男性たちのオーダーシートが劇的に書き換わっている。かつて主流だった「明るめの茶髪」や「ブリーチを伴うハイトーン」、あるいは「単なる白髪染めとしての漆黒」という二極化は完全に過去のものとなった。
現在サロンで圧倒的な支持を得ているのは、地毛の黒髪に溶け込みながら光を受けた瞬間にだけ透明感を放つダークモカやスモーキーアッシュブラウンだ。赤みやオレンジみを徹底して打ち消した調合により、オフィスでも浮かない品格を保ちつつ、毛先のパサつきを消して清潔感を倍増させる。白髪が混じり始めた世代にとっても、黒く塗りつぶすのではなく、深みのあるブラウンで自然にぼかす手法は「若作りに見えないエイジングケア」として確固たる地位を築いた。