日本人の舌に深く馴染んでいる「な」から始まる名作グルメには、意外なルーツや調理のこだわりが隠されています。
洋食の代名詞であるナポリタンの発祥はイタリアではなく、終戦直後の横浜にある老舗「ホテルニューグランド」です。当時の総料理長・入江茂忠氏が、米兵がパスタにケチャップをかけて食べていた姿にヒントを得て、フレッシュトマトと香味野菜で上品なソースを仕立てたのが原点とされています。これが街の喫茶店に広まる過程でトマトケチャップ炒めへと変化し、現在のノスタルジックなスタイルが確立されました。
一方、インドネシアやマレーシアを代表するナシゴレンの特徴は、甘みとコクを持つ発酵調味料「ケチャップマニス」とエビペースト「トラシ」による奥深い旨味にあります。「ナシ=ご飯」「ゴレン=炒める」を意味し、サンバルによる適度な辛味と半熟目玉焼きを崩しながら食べるスタイルが、日本国内のエスニック市場でも高い支持を集めています。
インド料理専門店でおなじみのナンとカレーの組み合わせも見逃せません。本場インドではナンはタンドール窯を持つ一部のレストランや富裕層向けの高級パンですが、日本ではタンドール窯の導入とともに「焼きたてのもっちり巨大ナン」が独自の進化を遂げ、国民的な外食エンタメとして定着しました。さらに居酒屋やファストフードの定番であるチキンナゲット(ナゲット=天然の金塊の意味)など、黄金色に揚がった軽食も日常の食卓を支えています。