V6の最年少メンバーとしてデビューした岡田准一のキャリアは、順風満帆に見えた。しかし本人の胸中には、アイドルという虚像と本物の役者としての実力との乖離に対する焦燥感が常に渦巻いていたという。その壁を打ち破った決定的な一作が、映画『永遠の0』だ。
命を惜しみ、愛する者のために生き抜こうとした零戦パイロット・宮部久蔵。岡田はこの難役に魂を削るようにして向き合い、第38回日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞した。同映画祭で最優秀助演男優賞とのダブル受賞という歴史的快挙を成し遂げた瞬間、彼は「元アイドルの俳優」というレッテルを完全に過去のものへと葬り去った。
スクリーンの隅々にまで宿る気迫と静かな哀愁。日本映画界の重鎮たちが岡田を一目置くようになったのは、この圧倒的な説得力ゆえである。