かつては工業エリアや幹線道路沿いに限られていた早朝の活況は、いまやメガターミナルである横浜駅周辺へと急速に波及している。ただし、ここで起きている現象は伝統的な豚骨醤油の一強支配ではない。多様化する現代人の胃袋を狙い撃ちにする新たな潮流だ。
煮干しを限界まで煮出したビターでクリアなスープ、あるいは厳選された地鶏と水だけで抽出した滋味深い淡麗醤油。通勤通学の結節点である駅ナカや地下街近辺では、女性ひとりでもふらりと入れるスタイリッシュなカウンターが早朝7時から満席となる。昨晩のアルコールを優しく洗い流したいサラリーマンから、リモートワーク前に頭をシャープに覚醒させたいクリエイターまで、横浜の朝は多様な旨味のグラデーションによって細分化されつつある。