午後八時四十五分。館内の特設ステージに宿泊客が吸い寄せられるように集まってくる。静寂を破るファンファーレとともに姿を現すのが、名物大女将・宮川高美氏だ。
琴の早弾き、太鼓の乱れ打ち、手品、さらには体を張ったアクロバティックな芸まで。次から次へと繰り出される演目の数々は、まさに圧巻の一言に尽きる。客席からは笑い声と歓声が絶え間なく湧き上がる。何十年もの歳月、ほぼ休むことなく毎晩ステージに立ち続けてきた大女将のバイタリティは、どこから湧いてくるのか。「お客様の笑顔が見たい、ただそれだけ」。舞台袖で見せる真剣な眼差しに、プロフェッショナルとしての誇りが宿る。