通称「つちよし」と呼ばれる「𠮷」。一般的な「吉(さむらいよし)」が常用漢字として確固たる地位を築いているのに対し、𠮷は長年にわたりデジタル環境から締め出されてきた歴史を持つ。日本語情報処理(IT業界)が黎明期に制定した標準文字コード規格「JIS X 0208」に、この文字が含まれていなかったことがすべての発端だ。
時代の要請に応える形で「JIS X 0213」規格が拡張され、国際標準を定めるUnicodeコンソーシアムの規格(Unicode 3.1以降)にもサロゲートペア領域として収録された。しかし、文字が規格に収まったからといって、システム同士の摩擦が消えたわけではない。古いデータベースや独自の文字コードを採用する企業システムでは、今なお未登録文字として弾かれてしまう現実が横たわっている。