ジブリ名作On Your Mark完全解説|封印の真相と裏設定

ジブリ名作On Your Mark完全解説|封印の真相と裏設定

ジブリ名作On Your Mark完全解説|封印の真相と裏設定の基本情報から最新動向までを一挙に解説しました。

『On Your Mark』の世界を語る上で欠かせないのが、徹底して構築されたディストピア設定です。冒頭で一瞬だけ映し出される長閑な田園風景の奥には、黒く巨大な異形の構造物がそびえ立っています。これはチェルノブイリ原子力発電所の事故後に作られた「石棺(サarcophagus)」をさらに巨大化・恒久化させたスラコフ型防護シェルターです。

背景には「放射能注意」「原子力施設」を示す警告看板が点在し、トラックの荷台には放射性廃棄物ドラム缶が積載されています。地上は目に見えない放射線によって完全に死に絶えており、人類は太陽光の届かない地下都市(スラック・タウン)へと避難し、人工太陽やネオンの光に依存しながら生活を営んでいます。地下のバーで飲まれる合成酒や、無機質な高層ビル群の描写は、人類が自らの過ちによって自然から切り離された末路を雄弁に物語っています。

1995年の阪神・淡路大震災や地下鉄サリン事件、さらには後の福島第一原発事故を予見したかのようなこの重苦しいビジョンについて、宮崎監督は「制御できないテクノロジーを抱え込み、病んだ都市の中で生き続ける現代人の姿そのもの」と痛烈な文明批評を込めて制作したことを証言しています。

池田 達也
著者

池田 達也

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。