ネット上のQ&Aサイトや知恵袋などで頻繁に見られる危険な誤解について、食品衛生の観点から明確な是正を行っておく必要があります。
第一の誤解は、「青カビが生えた部分だけを包丁で大きく削ぎ落とせば、残りの部分は食べられる」という言説です。柑橘類に生えるペニシリウム菌は、目に見える胞子を表面に形成する遥か前に、果皮の柔組織や果肉の導管を通じて目に見えない菌糸を深部まで伸ばしています。表面を削ったとしても内部にカビ毒や菌糸が残留しているリスクが高く、微細な異臭や苦味の原因となります。一部でも白や青緑色のカビが発生したレモンは、迷わず廃棄するのが鉄則です。
第二の盲点は、外国産レモンに塗布されている「防ばい剤(防カビ剤)」と保存前の処理です。輸入レモンの多くには、長時間の海上輸送に耐えるためOPP(オルトフェニルフェノール)やTBZ(チアベンダゾール)、イマザリルなどの防ばい剤が使用されています。これらは水洗いだけでは完全に落とすことが困難です。皮ごと冷凍保存やすりおろし、はちみつ漬けにする場合は、塩を手に取って果皮を揉み洗いする(塩もみ)か、重曹水(水1リットルに重曹大さじ1)に1分ほど浸してから流水でスポンジ洗いを行ってください。無農薬・ノーワックスの国産レモンを入手した場合でも、皮の汚れや土ぼこり、付着した常在菌を落とすために保存前の丁寧な水洗いは不可欠です。