コロニア・グエル教会は、世界的に「サグラダ・ファミリアの実験場」として広く知られています。ガウディはこの教会の設計にあたり、従来の定規とコンパスによる設計手法を完全に捨て去り、前代未聞の力学的アプローチを試みました。
その象徴が、現在も模型として語り継がれるコロニアグエル地下聖堂の「逆さ吊り実験(フニクラ)」です。天井から無数の紐を垂らし、鉛の小袋(重り)を吊り下げて自然に生まれる美しい懸垂線(カテナリー曲線)を観察。その網状の立体を上下反転させることで、無駄な補強柱を一切使わずに荷重を支える、理想的なアーチ構造を導き出しました。
10年もの歳月をかけて生み出されたこの計算式は、そのままサグラダ・ファミリアの複雑な身廊や大円柱の設計へと応用されました。地下聖堂の内部に足を踏み入れた瞬間、傾いた玄武岩の柱や交差するレンガのリブが織りなす空間に圧倒されるのは、力学的な無理が一切ない「自然の摂理」を肌で感じるためです。