「賞味期限切れで少し怪しいけれど、フライパンでしっかり炒めたり、グツグツ煮込んだりすれば熱で殺菌できるから平気」と考える人がいますが、これは極めて危険な誤解です。
確かに、サルモネラ属菌やカンピロバクター、病原性大腸菌などの一般的な細菌自体は、75℃で1分間以上の加熱を行えば死滅します。しかし、食品の腐敗や食中毒を引き起こす細菌の中には、増殖する過程で熱に非常に強い「毒素」を作り出すものがあります。
代表的な例が黄色ブドウ球菌が産生するエンテロトキシンや、セレウス菌の嘔吐型毒素です。これらの毒素は100℃で30分以上加熱しても分解されません。つまり、ウインナーの表面で菌が増殖して毒素が作られてしまっていた場合、いくら強火でボイル・ソテーして菌そのものを死滅させても、毒素はそのまま残り、激しい嘔吐や下痢、腹痛を引き起こします。
「加熱すれば安全」が通用するのは、あくまで「腐敗が始まっておらず、毒素が産生されていない状態」に限られます。異臭やネバつきが出ている時点で、加熱の有無に関わらず食中毒のリスクは回避できません。