バラエティ番組の定番であるご本人登場シーンにおいて、和田アキ子ほど破壊力を持つ存在はいません。ものまね番組で偽者が調子に乗ってネタを披露している背後から、本物の和田アキ子が威風堂々と歩み寄る瞬間、スタジオに走る緊張と緩和は日本のテレビ芸の最高峰として長年親しまれてきました。
その真骨頂が発揮されたのが、TBS系『水曜日のダウンタウン』における数々の検証企画です。同番組では「和田アキ子のモノマネをする芸人、本人の前で同じクオリティを維持できるのか説」や、電話口での声の聞き分け、ドッキリ企画などを繰り返し実施してきました。落とし穴に落ちてもなおモノマネを続けさせられる過酷なシチュエーションにおいて、シャチホコが見せたプロ根性と、それを見守る和田アキ子のリアクションは神回として語り継がれています。
検証企画の現場において特筆すべきは、和田アキ子がカメラの回っていない場所で見せる細やかな気配りです。番組ディレクターや制作関係者の証言によると、本番で激しいツッコミを入れた直後、彼女は必ず「怖かったやろ、ごめんな」「ネタ、面白かったで」と声をかけていたといいます。テレビ的な「恐怖の象徴」を演じ切りながら、若手芸人が萎縮して潰れてしまわないよう配慮する二重のプロフェッショナリズムこそが、彼女が半世紀以上トップに君臨し続ける所以です。