カミナリの代名詞といえば、たくみがまなぶの頭部を激しく叩くカミナリ どつき漫才です。しかし、このスタイルは最初から存在していたわけではありません。結成当初の2011年、彼らは自分たちの本来の姿を隠し、東京の若手芸人らしくスタイリッシュに振る舞おうとしていました。
当時の彼らは、標準語を使った漫才や、共通の趣味であったヒップホップを取り入れたネタを試行錯誤していました。しかし結果は鳴かず飛ばずで、オーディションにすら受からない日々が続きます。転機が訪れたのは、所属するグレープカンパニーの作家や先輩芸人からの「お前らの普段の楽屋の会話が一番面白い。方言を隠すな」という助言でした。
彼らの出身地である茨城県鉾田市は、メロンの生産量日本一を誇る肥沃な農村地帯です。幼少期から同じ景色を見て育ち、家族ぐるみで付き合ってきた2人にとって、茨城弁(鉾田弁)での会話こそが最も自然な呼吸でした。ある日のネタ合わせ中、まなぶのあまりに的外れなボケに対して、たくみが我慢できずに「ねぇな!」と怒鳴りながら頭を叩いた瞬間、スタジオの空気が一変しました。
「叩かれたまなぶが一切痛がらず、むしろ少し嬉しそうに飄々としている」「後からじわじわとツッコミの言葉が効いてくる」。この幼馴染ならではの信頼関係と身体的リアクションが、2016年のM-1グランプリ決勝への切符を手繰り寄せ、一躍全国区のスターへと押し上げたのです。