全話を通じて描かれたのは、日常の退屈に苛まれていた青年たちが、大人の女性との逢瀬を通じて自己の存在理由を激しく揺さぶられていく過程でした。医大生として敷かれたレールの上を歩んでいた透は、母の友人である詩史の事務所で運命的な出会いを果たします。部屋に飾られた東京タワーの絵画、静謐なクラシック音楽、自分を子ども扱いしない詩史の言葉遣い。透にとって詩史は、退屈な世界から抜け出す唯一の光となっていきます。
一方、耕二は透の影響を受けて年上の女性への興味本位から、自身がアルバイトをするスポーツクラブの顧客である喜美子に接近します。当初は危険な火遊びに過ぎなかった関係は、喜美子が心の奥底に抑圧していた「一人の女性としての情念」を解放させたことで、耕二自身の心をも制御不能な領域へと引きずり込んでいきました。
物語が急展開を迎えたのは後半、夫・英雄の存在と家庭の崩壊が現実の牙を剥いた瞬間です。喜美子の逢瀬は夫と娘に知れ渡り、家庭は完全に崩壊。激昂する夫から糾弾された耕二は、自らの浅はかさと、知らず知らずのうちに喜美子を本気で愛してしまっていた現実に打ちのめされます。喜美子は家を飛び出し、すべてを失いながらも、誰かの所有物ではない自立した人生を歩む選択をします。
そして迎えた最終回。詩史は透との情熱に流されるまま夫を捨てるのではなく、建築家としての自分、そして一人の成熟した女性として自らの過去と未来に向き合うため、一人でパリへと旅立ちます。透は激しい喪失感のなかで医師を目指す本来の道へと立ち返り、自らの足で立つ強さを身につけていきます。数年後、互いに自立した人間として再び東京の街で視線を交錯させる二人――。安易なハッピーエンドでも破滅的な心中でもなく、お互いの人生を肯定し合う余韻に満ちた結末は、視聴者の間で「切なすぎるがこれ以上ない救い」として絶大な支持を集めました。