エヴァの難解な設定を語る上で、インターネット上で長年拡散され続けている代表的な誤解がいくつか存在します。その最たるものが、「カヲルが第13の使徒になったのは、新たな使徒として別の肉体に変異したからだ」という解釈です。
劇中の描写を精緻に検証すると、カヲルの肉体そのものが別のモンスターに変貌したわけではありません。新劇場版における「使徒」とは、単なる生体兵器の個体識別名ではなく、「世界の理(ことわり)における霊的・情報的な階位(ステータス)」として機能しています。第13号機がリリスの骸から2本の槍を抜き、第12の使徒を取り込んだことで、パイロットであるカヲル自身が持つ霊的パターンが強制的に変調させられ、検知システム上「第13の使徒」として定義付け直されたというのが正確な構図です。
また、「新劇場版のリリスとアダムは旧作と完全に同一の存在である」という誤解も根強く残っています。新劇場版の世界には「セカンドインパクト時に南極に現れた4体の光の巨人(アダムズ)」が存在し、旧作の単一のアダムとは設定が根本から異なります。渚カヲルはそのアダムズの魂の生き残りであり、エヴァ第13号機自体もアダムズの生き残りの1体を素体として建造されたことが『シン・エヴァンゲリオン劇場版』で明かされました。つまり、カヲルが第13号機に乗ること自体が、最初から「アダムズの器」同士を共鳴させ、使徒堕ちを引き起こすためのゲンドウの計算尽くの罠だったのです。