かつては格式高い礼法として親しまれてきた茶道ですが、目まぐるしい情報社会の中で心を整えるマインドフルネスの手段として、自宅で楽しむ本格抹茶に熱い視線が注がれています。大手茶舗が相次いで手軽なシングルサーブのスティック抹茶や家庭用ミニマムセットを展開したことも後押しし、若年層からシニア層まで「家飲み抹茶」を日常のルーティンに組み込む愛好家が増加しました。
抹茶の世界に足を踏み入れる際、まず理解しておきたいのが薄茶と濃茶の違いです。一般的に私たちがカフェや家庭で味わうさらりとした泡立ちのある抹茶は「薄茶(うすちゃ)」と呼ばれます。抹茶の粉末約1.5〜2.0gに対してお湯を60〜70ml注ぎ、しっかりと空気を含ませて点てるスタイルです。
対して「濃茶(こいちゃ)」は、薄茶の約2倍の粉末(約4g)にわずか30ml程度の湯を加え、泡立てずに練り上げる濃厚なもので、主に格式ある茶事の主客席で用いられます。初心者が自宅で楽しむなら、まずは喉越しが良く爽快な香りを堪能できる「薄茶」からスタートするのが鉄則です。作法に縛られすぎず、基本の理屈さえ押さえれば、誰でも最初の一杯から雑味のない上質な甘みを引き出せます。