ネット上に溢れる「たった5分でプロ並みに着られる」「紐を使わない魔法の着付け」といったキャッチコピーには、初心者が鵜呑みにすると失敗する罠が潜んでいます。現場のリアルを知る取材記者として、よくある3つの誤解を正しておきます。
第1の誤解は、「便利グッズに頼れば誰でも綺麗に着られる」という幻想です。ゴム付きのコーリンベルトやワンタッチ帯枕などは確かに手順を減らしてくれますが、ゴムの張力調整を誤ると逆に布地を引っ張りすぎて衿元が崩れたり、締め付けすぎて体調を崩したりする原因になります。最も緩まないのは、道具のギミックではなく、純粋なウール(モスリン)の腰紐を適切なテンションで交差させる伝統的な技術です。
第2の誤解は、「細身の人ほど着物が似合う」という思い込みです。洋服とは異なり、着物は直線の布地をまとう衣服であるため、ウエストが極端にくびれていたり鎖骨が浮き出ていたりする痩せ型の人ほど、広範囲にわたる綿密なタオル補正が不可欠になります。むしろ適度なふくよかさを持つ体型の方が補正の手間が少なく、補正なしでも布が吸い付くように綺麗に着こなせるのが和装の構造的な特徴です。