英和辞典を開くと、名詞「thickness(発音記号:/θíknəs/)」には「厚さ、太さ」という訳語が当てられています。大手辞書サイトWeblioの用例でも「They are of uniform thickness(それらは均一の厚さである)」や「a thickness of five inches(5インチの厚さ)」といった格調高い例文が掲載されており、単語自体は何一つ間違っていません。
それにもかかわらず、なぜ現場で「thicknessと言うだけでは不十分」とされるのでしょうか。最大の理由は、ネイティブスピーカーが日常会話や実務の口頭確認で「名詞のthickness」をあまり連発しないという点にあります。
オンライン英会話大手DMM英会話の講師陣や言語リサーチのデータによると、長さを尋ねるときに「What is the length?」よりも「How long is it?」が好まれるのと同様、厚みを聞く際も「What is the thickness of this pole?」より「How thick is this pole?(この棒の厚みはどれくらい?)」と形容詞「thick」を使って尋ねるケースが全体の7割を超えています。名詞のthicknessばかりに依存した会話は、相手に硬苦しい機械翻訳のような違和感を与えてしまうのです。
さらに重要なのが、厚みの測り方や空間認識における「thickness」と「depth(深さ・奥行き)」の混同です。箱のサイズを測定する際、手前から奥への「奥行き」は通常「depth」であり、板そのものの「肉厚」が「thickness」となります。この認識が曖昧なまま海外ベンダーに指示を出すと、まったく異なる寸法の試作品が上がってくるというトラブルが後を絶ちません。