日本相撲協会が今日に至るまで最も世論の厳しい批判に晒されてきたのが、繰り返された「不祥事」と「隠蔽体質」です。2000年代後半から2010年代にかけて発生した時太山部屋での力士暴行死事件、野球賭博問題、八百長問題、そして元横綱による傷害事件などは、大相撲の存続そのものを揺るがす深刻な危機となりました。
これらの背景には、外界から隔絶された「部屋」という閉鎖空間において、師匠への絶対服従と鉄拳制裁を「指導」と正当化する昭和的な徒弟制度の歪みがありました。自著や手記で当時の内情を語った元力士たちの証言にもあるように、「理不尽な暴力も土俵の肥やし」とする悪しき土壌が長年放置されていたのです。
これに対し、文部科学省からの指導や公益財団法人への移行手続きを経て、協会は大規模な組織改革に踏み切りました。外部弁護士を含むコンプライアンス委員会の設置、力士・親方に対するコンプライアンス研修の義務化、通報窓口の設置など、制度面の整備が進められました。師匠による弟子への暴力や暴言に対しては、過去の実績に関わらず部屋閉鎖や降格・退職勧告といった厳格な処分が下されるようになり、旧態依然とした隠蔽体質からの脱却が図られています。