いつも朗らかな笑顔を絶やさない風吹ジュンですが、その人生の歩みは平坦なものではありませんでした。富山県で生まれた彼女は、幼少期に両親が離婚し、母親からのネグレクトに近い極貧生活を経験。京都や大阪で孤独な思春期を過ごしたのち、中卒で上京して銀座の高級クラブで働きながら自活の道を切り拓きました。
私生活では、1981年に音楽プロデューサーとして名高かった川添象郎氏(2024年9月に逝去)と結婚。長男と長女の二児に恵まれますが、元夫の度重なる女性問題や金銭トラブルに見舞われ、1992年に離婚が成立しました。当時、抱えていた多額の借金返済と幼い息子・娘の養育費を稼ぐため、彼女は睡眠時間を削って過酷なスケジュールで女優業に打ち込みました。
家庭社会学の視点から見ると、逆境に立たされた親は往々にして子どもと共依存に陥ったり、自己犠牲の果てに心身をすり減らしたりしがちです。しかし風吹ジュンは、子どもたちに対して「一人の独立した人間同士」として接し、健全な心理的バウンダリー(境界線)を引き続けました。過酷な試練から逃げず、すべてを引き受けて自立を貫いた生き様が、顔立ちに媚びのない品格と、揺るぎない知性を宿らせています。