インターネットの検索窓に店名を入力するとサジェストされる「閉店」の二文字。食のファンを不安にさせるこの噂の発端を調査すると、過去に展開されていた「ラ・ベットラ・ペル・トゥッティ(新宿)」の契約満了や、銀座エリアに隣接していたテイクアウト専門店「ドルチェ」の機能集約、さらには百貨店催事や系列カフェ業態の再編情報が混同されて拡散した結果であることが判明しました。ラベットラ銀座本店ならびにラベットラ・ダ・オチアイ 名古屋店は、現在も盤石の体制で営業を続けています。
日本のイタリアンブームを牽引してきた落合務(おちあい つとむ)シェフの経歴とプロフィールを振り返ると、その足跡はまさに日本洋食界の発展史そのものです。1947年生まれの落合シェフは、ホテルニューオータニのフランス料理店などで修行を積んだ後、1978年にイタリアへ渡航。約3年間にわたり本場の家庭料理や地方料理を徹底的に学びました。帰国後、赤坂「グラナータ」の総料理長として一世を風靡し、1997年に独立して銀座に「ラ・ベットラ・ダ・オチアイ」をオープンしました。
2013年には黄綬褒章を受章し、2020年には厚生労働省より「現代の名工」に選出されるなど、料理界における最高峰の栄誉に輝いています。長年務めた日本イタリア料理協会の会長職を一線に譲った後も、落合務シェフの現在は名誉会長として業界の発展に寄与しつつ、自社厨房への定期的な巡回・監修、調理専門学校での特別講義、YouTubeやメディア出演を通じた家庭向けレシピの普及など、精力的な活動を継続しています。厨房で培われた「誰にでも分かりやすく、絶対にごまかさない味」への探求心は、今なお後進のシェフたちへ確実に受け継がれています。