昭和の不良文化を語る上で、ポップカルチャーとの相互作用は見逃せません。1980年代半ばから巻き起こったヤンキーブームの起爆剤となったのが、きうちかずひろ氏による漫画『ビー・バップ・ハイスクール』でした。従来の劇画調でシリアスだった不良像を一変させ、等身大の高校生のコミカルな日常、喧嘩のリアルな駆け引き、そしてスタイリッシュなファッションを描き出した本作は、当時の若者に絶大な影響を与えました。
ビーバップハイスクール影響は社会現象となり、主人公のヒロシやトオルを模倣した髪型や服装が全国の中学・高校で爆発的に増加しました。実写映画版の大ヒットも手伝い、映画館に本物のツッパリたちが詰めかけるなど、スクリーンの中の虚構と現実の不良カルチャーが奇妙に共鳴し合ったのです。
さらに『湘南爆走族』『今日から俺は!!』『ろくでなしBLUES』といった昭和ヤンキー漫画名作群が次々と誕生しました。これらの作品は、単なる暴力賛美ではなく、「仲間を守る」「筋を通す」「弱者をいじめない」といった一種の騎士道精神(ヤンキー美学)を提示し、少年たちの倫理観の形成にも深く関与しました。しかし現実には、漫画の様式美を都合よく解釈し、過度な暴力や恐喝を正当化するグループも多く、メディアの影響による非行の裾野拡大という影の側面も同時に生み出しました。