滑舌のメカニズムを理解したところで、プロの現場で毎日行われている実践トレーニングを取り入れましょう。声優養成所や報道現場で新人が最初に叩き込まれるのは、スピードを競う早口言葉ではなく、母音の純度を高める「母音法(ぼいんほう)」と「分解調音」です。
ステップ1:北原白秋『五十音』を使った「母音読みトレーニング」
文章から子音を抜き去り、母音だけで発音する訓練法です。劇団四季やアナウンス研修で徹底されている王道メソッドであり、これを数分行うだけで舌の余計な力みが取れます。
- 通常:あめんぼ あかいな あいうえお(水馬 赤いな ア・イ・ウ・エ・オ)
- 母音化:アエオ アアイア アイウエオ
- 通常:かきのき くりのき かきくけこ(柿の木 栗の木 カ・キ・ク・ケ・コ)
- 母音化:アイオイ ウイオイ アイウエオ
まずは母音だけで、口の形を上の比較表通りにしっかりと維持しながら発声します。その直後に通常の歌詞を声に出すと、驚くほど言葉が唇から滑らかに飛び出してくる感覚を味わえるはずです。
ステップ2:調音器官をピンポイントで覚醒させる短文・早口言葉一覧
各行の苦手分野を克服するために、声優の現場で重宝されている特化型フレーズを厳選しました。回数をこなすのではなく、「1文字1音を粒立ち良く発音できているか」に全神経を集中させてください。
- サ行・摩擦音の強化(息もれ・舌足らずの解消):
「新進シャンソン歌手総出演、新春シャンソンショー」(しんしんしゃんそんかしゅそうしゅつえん しんしゅんしゃんそんしょー)
※ポイント:舌先を上前歯の裏に近づけ、鋭い摩擦気流を真っ直ぐ前に吹き出す意識。 - タ行・破裂音の強化(言葉の立ち上がりを鋭くする):
「肩たたき機、タタキづらい肩たたき機、叩きにくい肩たたき機」(かたたたきき たたきづらいかたたたきき たたきにくいかたたたきき)
※ポイント:舌先で歯茎をしっかりと弾く(タッピングする)感覚を掴む。 - ラ行・舌先の筋力強化(巻き舌・不明瞭なもごもご声の解消):
「老若男女、骨粗鬆症訴訟原告勝訴」(ろうにゃくなんにょ こつそしょうしょうそしょうげんこくしょうそ)
※ポイント:舌先を上顎に軽く触れさせ、スピーディーに離す脱力の連動。 - パ行・マ行の口唇閉鎖強化(マイク乗りを良くする):
「文部科学省公認、特許東京特許許可局局長、今日急遽休暇許可申請」(もんぶかがくしょうこうにん とっきょとうきょうとっきょきょかきょくきょくちょう きょうきゅうきょきゅうかきょかしんせい)