「画面のプレビューでは完璧に見えていたのに、紙に印刷したりPDFへ変換した瞬間に、最下段の行が途切れて消えてしまった」——これはエクセルの描画エンジンとWindows/Macのフォントレンダリング仕様の違いによって引き起こされる、数十年来の代表的な落とし穴です。
このトラブルを防ぐ第1歩は、「セル内改行の高さ自動調整」を確実に実行することです。改行を含んだセルの行番号の境界線(たとえば行番号「5」と「6」の境目)にマウスポインタを合わせ、形状が上下矢印付きの十字に変わったところでダブルクリックします。これにより、エクセルは行の高さを内部文字列の行数に合わせて瞬時に再計算します。
しかし、落とし穴はここからです。エクセル画面上のピクセル単位の描画と、プリンタードライバーが要求する解像度(DPI)の計算差異により、自動調整を行っても印刷時に数ピクセルの不足が生じ、文字の下部が切れてしまう現象が後を絶ちません。この印刷欠けを根本から防ぐには、以下の3つの実務対策が推奨されます。
- 行の高さに1〜2ポイントのマージンを手動追加:自動調整後、行の境界線をわずかに下方向へドラッグし、安全領域を確保する。
- 余白設定の最適化:ページレイアウトタブから余白を「狭小」にするか、拡大縮小印刷で「横を1ページに合わせる」を設定する。
- メイリオ等の行間が広いフォントの採用を避ける:游ゴシックやBIZ UDPゴシックなど、行間の垂直メトリクスが安定したビジネス標準フォントを選択する。