なぜ社協はこれほどまでに硬直化し、利用者に冷たい組織となってしまったのでしょうか。その根底には、「役所からの天下り人事」と「過酷な内部労働環境」という構造的な闇が存在します。
全国の多くの市区町村社協において、常務理事や事務局長といった意思決定権を持つ高給ポストは、自治体(市役所・区役所)を定年退職した元幹部職員の指定席となっています。福祉の専門性を持たない天下り幹部が上層部に居座ることで、組織は「波風を立てないこと」「行政の意向に逆らわないこと」を最優先する官僚主義に支配されます。
その一方で、実際に住民の相談に乗る現場職員の多くは、契約職員や低賃金の非正規雇用者です。業務量は年々膨張し、本来の福祉相談業務に加えて、行政からの委託業務、権利擁護、成年後見、生活困窮者自立支援などの事務処理に追殺されています。ある元社協職員は退職時の手記で次のように現場の疲弊を吐露しています。
「天下りの上司は現場の苦境に目もくれず、定時で帰る。現場では業務過多と同調圧力によるパワハラが蔓延し、精神を病んで休職・退職する若手福祉士が続出している。利用者に寄り添う余裕など、現場の誰一人として持てていないのが現実です」
ガバナンスが完全に崩壊した結果、近年では全国の社協で職員による公金横領や着服といった不祥事が次々と明るみに出ています。市民から集めた善意の会費や募金が、内部の杜撰な管理によって私的に流用されていた事件が後を絶たない事実も、市民の信頼を根底から揺るがしています。