医師向け・医療相談Q&Aプラットフォームの「アスクドクターズ」に蓄積された「肺に水が溜まる 入院期間」に関する29件以上の生々しい相談記録を紐解くと、医療側の説明と家族の受け止め方の間に横たわる深い溝が浮かび上がってきます。
相談内容で圧倒的に多いのは、次のような家族の切痛な叫びです。
「80代の母が肺水腫で入院しました。主治医からは『あと1週間で退院できます』と言われましたが、面会に行くと本人は自力でベッドから起き上がることもできません。こんな状態で家に連れて帰って、本当に家族だけで面倒を見られるのでしょうか?」
「父が肺の水を抜く処置を受け、呼吸は少し楽になったようですが、認知機能が急激に落ちてしまいました。病院は『医学的には脱水も改善し退院可能』と言いますが、入院前とは別人のようです」
現場のリアルな観察から言えるのは、医師が語る「退院の目安」とはあくまで「急性期の生命危機を脱し、点滴や機械管理が外れた状態(医学的治癒)」を指している点です。一方で、家族がイメージする「治って退院」とは「入院前の元気な状態で日常生活に戻れること」であり、この認識ギャップが退院直前のパニックや家族の精神的崩壊を引き起こしています。
また、入院の引き金となる肺水腫初期症状と前兆を見逃して重症化させてしまったことに対する、家族の後悔も後を絶ちません。心不全による肺水腫は、ある日突然ゼロから発生するのではなく、必ず事前の警告サインを発しています。
- 「夜、布団に横になると息苦しくなり、上半身を起こして座ると少し楽になる(起坐呼吸)」
- 「数日のうちに足のすねを指で押すと跡が戻らないほど浮腫(むく)み、体重が2〜3kg急増した」
- 「夜間に乾いた咳が止まらず、次第にピンク色の混じった泡状の痰が出るようになった」
こうした前兆を「年のせい」「風邪をひいたのだろう」と見過ごし、チアノーゼ(唇や爪が紫色になる)を起こして救急搬送された時には、すでに呼吸不全の重症段階に達しており、結果として入院期間が長期化してしまうのです。