もしも下り坂の途中でフェード現象に襲われ、踏み込んでも減速しなくなったらどうすべきか。パニックを起こしてハンドルを投げ出すことだけは絶対に避け、以下の手順を順番に実行してください。
まずはギアを強制的にロー側へ一段ずつシフトダウンさせます。速度が出ている状態でも、現代の電子制御トランスミッションは許容回転数の範囲内でシフトダウンを受け付けます。強烈なエンジンブレーキを立ち上がらせ、少しでも運動エネルギーを削ぎ落とします。
次に、サイドブレーキ(パーキングブレーキ)を慎重に操作します。手引き式や足踏み式の場合、一気に引き切ると後輪がロックしてスピンを誘発するため、レバーの解除ボタンを押したまま徐々に力を込めて引き上げます。電子式パーキングブレーキ(EPB)搭載車の場合、多くの車種ではスイッチを長引き(または引き続ける)することで、走行中であってもABSを作動させながら安全に非常停止させるエマージェンシーブレーキ機能が働きます。
それでも止まりきれずカーブを曲がりきれないと判断した場合は、最終手段として「物理的な摩擦」による強制停車を試みます。山道に設けられている砂利の「緊急待避所」へ飛び込むのが最善ですが、それがない場合はガードレールや山側の土手に車体の側面を擦り付けるように接触させ、運動エネルギーを摩擦で殺しながら車を停止させます。正面衝突を避け、側面を滑らせる意識が生死を分けるボーダーラインです。