不動産投資家やインフルエンサーの間でまことしやかに語られる言説に、「都心の一等地であれば、築50年を超えていても土地持分があるから絶対に損をしない」という主張があります。しかし、この理論は現代の都市居住においては重大な誤解を含んでいます。
確かに、渋谷区や港区の超一等地に建つ一部の「ヴィンテージマンション」では、土地の潜在価値が高く、富裕層による手厚い修繕や管理費の拠出によって美観が維持されている稀有な例が存在します。しかし、それらは全流通物件の1%にも満たない極端な例外です。
一般的な住宅街や郊外に建つ築50年マンションの場合、1戸あたりに割り振られる敷地利用権(土地の持分面積)はわずか10㎡〜25㎡程度に過ぎません。仮に建物を取り壊して更地として売却しようとしても、区分所有法に基づく「全員一致」または「所在等不明共有者制度を活用した高度な多数決決議」が必要となり、権利関係の整理には膨大な年月と弁護士費用がかかります。解体費用を差し引けば、手元に残る土地代はスズメの涙というケースが大半です。「立地が良いから逃げ切れる」という過信は、高経年マンションの出口戦略においては通用しません。