ネット上の情報や動画サイトを見て、「エアコンが効かないからホームセンターや通販で冷媒ガス(HFC-134aや新型冷媒HFO-1234yf)の補充缶を買って自分で充填しよう」と試みる方が後を絶ちません。しかし、これは最も陥りやすい危険な誤解です。
冷媒ガスが関係するのは「エアコンのコンプレッサーが冷気を作るサイクル」のみです。送風ファンを回す動力は100%電気モーター(ブロアモーター)による物理的な力であり、風がまったく吹き出していない状態の車に冷媒ガスをいくら注入しても1ミリも症状は改善しません。
それどころか、送風されていない状態でガスを誤認充填すると、配管内の圧力が異常上昇(オーバーチャージ)し、コンプレッサーの破損や配管破裂といった20万〜30万円級の大規模故障を人為的に誘発する恐れがあります。
「冷えない(ぬるい風が出る)」と「風が出ない(風量そのものがゼロ)」は、医師の診察で言えば「風邪」と「骨折」ほど根本的に異なる病態です。「風が出ない=電気回路・ファンモーター系の物理障害」と冷静に切り分けるリテラシーが求められます。