この表現の根底にあるのは、古代中国の山水文学や漢詩の世界観です。古くから東洋の詩人たちは、自然界のあらゆる音を「天籟(てんらい=自然が奏でる音楽)」として尊び、風が草木を揺らす音を「吟」、鳥の鳴き声を「唱」や「語」と捉えて詩に詠み込んできました。
例えば唐代や宋代の詩歌では、自然と自己が一体となる境地を描く際、風と鳥のさえずりを対句にして表現する手法が頻繁に用いられました。作為のない自然の営みそのものが崇高な歌であるという発想が、四字の成語的表現へと結実したのが「風吟鳥唱」のルーツです。
人間が創り出す喧騒から離れ、純粋な自然の調べに耳を澄ませる――そうした東洋特有の美意識や隠棲趣味、風流の心が、このわずか四文字の中に色濃く息づいています。