香川県内には数百軒に及ぶうどん店が存在しますが、その中でも「手打ちうどん はりや」が放つ存在感は異色を放っています。多くの讃岐うどん店がスピーディーな回転率を誇るセルフ形式を採用するなか、同店はフルサービススタイルを貫き、一杯に対する圧倒的な調理クオリティを追求し続けています。
行列が途絶えない最大の要因は、店主が頑ななまでに守り抜く「完全受注生産」の姿勢にあります。天ぷらは作り置きを一切せず、注文が入ってから丁寧に衣を纏わせて高温の油へ投入。同時に、麺も釜のタイミングを見極めて茹で上げ、冷水で一気に締めます。この揚げたて・茹でたて・締めたての3拍子が完璧に重なる瞬間を提供しているからこそ、訪れた客は2時間並んででも「また来たい」と口を揃えるのです。
店内は職人気質な店主がリズミカルに天ぷらを揚げ、麺をさばく姿がカウンター越しに広がります。その一切の妥協を排した所作はまるで劇場のようであり、待つ時間すらも期待感を高めるスパイスへと昇華させています。