生け花を始めるにあたって、複雑な理論を最初から丸暗記する必要はありません。流派によって呼称は異なりますが、生け花の構造は基本的に「3本の主軸(主枝・副枝・客枝、あるいは真・副・控)」のバランスで構成されています。
もっとも背の高い主軸を全体の中心に据え、2番目の長さの枝で奥行きを出し、短い枝や花で足元を引き締めつつ全体の調和を図ります。不等辺三角形の骨格を作る意識を持つだけで、初心者でも立体感と動きのある作品に仕上がります。
道具に関しても、初期段階で揃えるべきアイテムは極めてシンプルです。
- 花鋏(はさみ):茎の導管を潰さずに鋭角に切るための専用鋏。切れ味が水揚げの良否を左右します。
- 剣山(けんざん):重みのある金属製の台座に無数の針が並んだ道具。浅い器に花材を狙った角度で自立させるために使用します。
- 花器(水盤・花瓶):初心者は底が広く浅い「水盤」が最適です。剣山を安定して置くことができ、水の表面も景色の一部として活かせます。
剣山を使用する際は、花器の底に水平に設置し、太い枝は切り口を斜めにカットして中心から針へまっすぐ押し込んだ後に倒して角度をつけます。細い草花は数本を束ねるか、根元に別の茎を添え木にして刺すことでぐらつきを防ぎます。
また、作品を長持ちさせるためには適切な「水揚げ」が欠かせません。草花は水中で茎を切る「水切り」を行い、太い枝物は切り口を十文字に割る「根割(ねわり)」を施すことで、吸水面積を劇的に広げることができます。