現役引退後、栃錦は春日野親方として後進の育成に力を注ぐとともに、第7代日本相撲協会理事長に就任した。彼が発揮した手腕は、土俵の上にとどまらない。伝統を重んじながらも、組織の近代化や健全化を積極的に推し進め、相撲界の未来を見据えた広範な改革を敢行したのである。
現在の両国国技館建設に向けた基本構想の推進や、収益構造の透明化、親方衆の意識改革など、経営者・行政家としての栃錦の手腕は極めて高く評価されている。伝統芸能としての格式を守りつつ、近代スポーツとしてのエンタテインメント性とビジネスモデルを確立させた功績は、今日の相撲界の盤石な基盤となっている。