平成から令和にかけて、裏社会を描くクライムサスペンスの表現はよりシャープかつ洗練されたものへと進化を遂げた。その筆頭が、北野武監督による傑作『アウトレイジ』シリーズだ。作中で描かれる漆黒やダークグレーの上質なスーツスタイルは、冷酷無比な組織機構とビジネスライクな暴力を冷徹に表現し、観客に強烈なインパクトを与えた。
また、強烈な眼光と威厳に満ちた佇まいで数々の作品を締め直してきた俳優の白竜や、昭和の泥臭さを現代に蘇らせた映画『孤狼の血』などは、虚構ならではの美学を極限まで高めている。緻密に計算された無駄のないシルエットは、死と隣り合わせの世界で生きる男たちの張り詰めた緊張感を雄弁に物語る。