2000年代半ば、日本のゴールデンタイムは細木数子という一人の女性によって完全に支配されていた。TBS系列の冠番組『ズバリ言うわよ!』をはじめ、フジテレビのゴールデン特番など、彼女が出演する番組は軒並み20%を超える高視聴率を記録。威風堂々とした立ち振る舞いと、「地獄に落ちるわよ」「あんた死ぬわよ」といった烈火のごとき毒舌スタイルは、視聴者を恐怖と快楽の渦に巻き込んだ。
当時、番組内で大物芸能人やスポーツ選手を面罵し、人生の指針を強烈に示してみせる演出は、お茶の間にカタルシスを提供していた。しかしその裏で、メディアと芸能界が彼女の「威光」を利用し、高視聴率という目先の利益のためにその言動を無批判に後押ししていた構図は否めない。メディアが過剰に演出・神格化した存在こそが、のちに大きなしわ寄せを生むこととなったのだ。