2010年の法改正における極めて重要な特徴は、「改正施行時点で公訴時効が完成していなかった過去の事件にも遡及適用された」点です。
憲法第39条が禁じる「法の不遡及(事後に制定された法律で過去の行為を処罰することの禁止)」に抵触するのではないかという法解釈上の激しい議論も巻き起こりましたが、最高裁判所は2015年に「公訴時効は実体的な刑罰ではなく手続法上の規定であり、合憲である」との判断を下し、遡及適用の正当性が法的に確立しました。
この遡及適用により、時効成立寸前だった以下の主要な未解決事件も、時効を迎えることなく現在も捜査が継続されています。
- 世田谷一家殺害事件(2000年12月発生):犯人の指紋やDNA型、遺留品が多数残されており、国際捜査ルートも含めて追跡が続けられている最重要案件。
- 八王子スーパー強盗殺人事件(1995年7月発生):女性店員3名が射殺された事件。時効直前に法改正がなされ、現在も専従班が粘り強い捜査を展開。
- 柴又女子大生放火殺人事件(1996年9月発生):現場から犯人の血液反応が検出されており、最新のDNAプロファイリング技術による再鑑定が実施されている。