『Pretender』の歌詞は、最初から最後まで「理性の声」と「あふれ出す感情」の激しい衝突によって紡がれています。楽曲の核心に迫るため、象徴的なフレーズを深層心理から考察します。
冒頭から主人公は、「君との関係における不都合な真実」を淡々と受け入れようと苦悩します。
「君との関係は何だ?」自問自答してみても答えは出ない
ただ分かっているのは「君は綺麗だ」という事実だけ
主人公は自分自身が相手にとっての「正解」ではないことを痛いほど自覚しています。もっと違う性格、もっと違う境遇、もっと違う出会い方であれば良かったと悔やみながらも、時間は巻き戻せません。そして、サビで放たれるあまりにも有名な一節へと雪崩れ込みます。
「グッバイ 君の運命の人は僕じゃない 辛いけど否めない でも離れ難いのさ」
サビの冒頭で叫ばれる強烈な「グッバイ」は、相手に向けた別れの言葉であると同時に、「未練を断ち切れない自分自身への決別の叫び」でもあります。諦めなければいけないと頭では理解していながら、心は「髪に触れただけで痛いほど愛しい」と叫んでいる。この激しい認知的葛藤こそが、聴く者の胸を強く打つ理由です。
「君の運命の人は僕ではない」と認めながらも、主人公はギリギリまで「運命の人であるふり(Pretend)」をして相手のそばにいました。自らを「詐称者」と自嘲する態度の裏には、嘘をついてでも相手の隣にいたかったという、痛切なまでの純愛が隠されています。